不動産投資戦略|不動産投資ニュース&トピックス
欠陥住宅訴訟 設計・施工者の賠償責任範囲を明示 最高裁が初判断
先日7月21日に、欠陥住宅の賠償責任に関する最高裁判決が出ました。9階建ての共同住宅・店舗として建築された建物一棟を購入した方が、不法行為に基づく損害賠償として、施工業者側に対して瑕疵の修補費用相当額等を請求した事件でした。
この最高裁初判断は、今後の一棟物投資業界においても、影響を与えるかもしれません。
最高裁は、
「『建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵』とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体又は財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には,当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。」
とした上で、
「当該瑕疵を放置した場合に、鉄筋の腐食、劣化、コンクリートの耐力低下等を引き起こし、ひいては建物の全部又は一部の倒壊等に至る建物の構造耐力に関わる瑕疵はもとより、建物の構造耐力に関わらない瑕疵であっても、これを放置した場合に、例えば、外壁が剥落して通行人の上に落下したり、開口部、ベランダ、階段等の瑕疵により建物の利用者が転落したりするなどして人身被害につながる危険があるときや、漏水、有害物質の発生等により建物の利用者の健康や財産が損なわれる危険があるときには,建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当する」
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110721142929.pdf より引用)
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110721142929.pdf より引用)
としました。
すなわち、差し迫って建物が崩壊するような状況に限らず、例えば、このまま放置すれば、
・一棟物の外壁タイルが落下して、通行人に怪我等をさせる危険がある
・外階段で転んで怪我等をする危険がある
・シックハウス症候群等により健康を害する危険がある
などについても、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると思われます。
この最高裁判決の影響は小さくないと思います。新築の一棟物マンションやビルに限らず、一般住宅の場合にも、設計・施工者側の責任をより重く問うことになっていくでしょう。逆に言えば、投資家側(施主側)にとっては広く、かつ具体的に賠償責任を設計・施工者へ請求できる可能性が高くなったといえると思います。今後、同様の損害賠償請求が各地で起こされるかもしれません。
なお、上記判決文をよく読みますと、
「上記所有者が,当該建物を第三者に売却するなどして、その所有権を失った場合であっても、その際、修補費用相当額の補填を受けたなど特段の事情がない限り、一旦取得した損害賠償請求権を当然に失うものではない。」
としていることから、既に第三者に売却済みの物件についても、損害賠償請求権が当然に無くなってしまうわけではないことについても忘れてはいけませんね。建築に関して消費者保護の姿勢をより強く示すとともに、設計・施工者側の責任をより重く問う最高裁判決であると思われます。


