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  • 2011.7.19

賃貸住宅の「更新料」は条件付で有効 最高裁が初判断

賃貸住宅の「更新料」が有効かどうかについて、注目されていた最高裁判決が7月15日に出されました。一棟物賃貸住宅を保有している方、投資を検討する方、不動産管理会社にとっては、とても重要な最高裁判決だと思われます。

 
賃貸住宅の「更新料」については、これまで最高裁の判例として確定していませんでした。不動産投資家や不動産管理会社においては、10年程度過去にさかのぼってお金を返すことになっている消費者金融業者等に対する過払い金返還請求と同じことになるのでは・・・と戦々恐々としていたかもしれません。
 
注目されていた最高裁判決は、下記の通り条件付で有効になりました。
 
◎平成22(オ)863 更新料返還等請求本訴、更新料請求反訴、保証債務履行請求事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81506&hanreiKbn=02
 
「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう『民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』には当たらないと解するのが相当である。」
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110715143324.pdf より引用)
 
※民法第1条第2項
 「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」
 
 
私たちの本社がある千葉県松戸市では、
 
・賃貸住宅の契約期間は2年
・更新料は今後2年間の賃料(新賃料)の1か月分
 
というケースがほとんどです。
この賃貸住宅の「更新料」について初めて最高裁の判決が出るということで、7月15日朝のTVでも取り上げられていました。どちらかといえば、「更新料って、何で必要なの?」というイメージで報道されていたいたので、判決結果については釈然としない方もたくさんいらっしゃると思います。
 
今の賃貸市場では、更新料を0円にして競合する物件と差別化を計っているオーナーも多いので、必ずしも今回の判決が今後の不動産投資家にとって追い風になるとは言えません。
 
しかしながら、さかのぼって受領した更新料を返還することにならなかったことで、胸をなでおろしている不動産投資家や不動産管理会社も少なくないのではないでしょうか。消費者金融業者等が、10年くらいさかのぼって払ったお金を返還することになり経営状況が悪化(あるいは実質的に倒産)した過払い金返還請求訴訟と同じことになっては大変です。
 
過払い金返還請求は、「過払い金返還請求」という法律ではなく、
 
・不当利得の返還義務(民法703条)
・悪意の受益者の返還義務等(民法704条)
 
という民法に規定された条文に基づく請求を行っていると思われます。とすれば、上記最高裁の判決文に記載の
 
「更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎる」
 
という内容に合致してしまう場合には、過払い金返還請求と同様に更新料を返還する義務が発生する場合もあると思われます。
 
したがって、オーナー側は賃貸住宅の「更新料」は有効であると最高裁判決が出たことをよいことに、高額な更新料を賃借人に要求してはいけません。
 
なお、今回の判決で該当する「更新料」は賃貸住宅についてであり、消費者契約法で保護されるべき対象は一般市民であることから、法人が賃借人になる賃貸事務所・店舗については今回の判決は基本的に無関係であると思います。賃貸住宅の更新料が無制限に有効であるわけではない(条件付)ということと併せて、この点も間違わないようにしなければなりません。