不動産投資ガイド|不動産競売で考える不動産投資

不動産競売で考える不動産投資
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  • 2011.6.27

第二回|一般競争入札前の行動

「配当要求の終期等の公告」から得られた競売物件情報は、BITで閲覧できる三点セットのうち、物件目録程度です。地番は住居表示とは異なる場合もあり、グーグルマップなどで物件を特定できません。では、どのように競売物件を特定すればよいのでしょうか。


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この写真の物件は、東京都中央区にある平成20年築の一棟物競売物件です。

最寄駅からは徒歩4分でテナントも競売物件のわりには入居しているので、任意売却が成立しそうですが、一般競争入札になっています。実は、この物件は昨年(2010年)秋に一度BITに公告されたものの延期になり、再び今年6月に一般競争入札になりました。もう一棟同等のビルが共同担保になっていて債権額が大きいことも影響して、任意売却が成立していないのかもしれません。

一方、任意売却が成立しないと思われた物件でも、競売が取り下げられる場合があります。この場合には、

・実際に任意売却が成立した。あるいは確実に任意売却が成立すると債権者が認識した
・債務者へ支払いを催促する為に競売を申し立てただけで、始めから取り下げる予定であった

という場合が考えられます。
後者の場合には致し方ないと割り切りましょう。

ほとんどの場合、魅力的な不動産競売物件は任意売却で処理されてしまいます。任意売却の検討・交渉時間を多くとるためにも、「配当要求の終期等の公告(通称「配当要求」)に記載されている情報から、競売物件や債権者並びに債務者の情報を早めに特定する必要があります。


■配当要求から競売になった物件を特定する方法

「配当要求」の情報は、大きく分けて次の2つの方法で入手できます。

・有料の雑誌等で入手
・ご自身が直接管轄の裁判所等に足を運んで入手
 (例:東京地裁本庁の不動産競売物件であれば、東京地裁民事執行センター)

配当要求には、事件番号と、以下のような物件目録が記載されています。

<土地の場合>
・所在(住居表示とは異なる場合多々)
・地番
・地目
・地積
・所有者(記載されていない場合もあり)

<建物の場合>
・所在(住居表示とは異なる場合多々)
・家屋番号
・種類(共同住宅/ホテルなど)
・構造
・床面積(各フロアごと)
・所有者(記載されていない場合もあり)

私たちの本社がある千葉県松戸市の場合は、登記簿上の住所と皆さんが一般に使っている住所(「住居表示」)は、ほぼ全域にわたって一致しています。したがって、一般の方でも配当要求の情報から物件をほぼ特定可能です。

しかし、他のエリアにおいては、登記簿上の住所と住居表示が異なる場合が多々あります。配当要求に記載の住所をネット検索し、違う物件が出てくることもあるのでご注意ください。配当要求から物件を特定するためには、管轄の法務局に問い合わせるのが確実です。

稀にあるご相談なのですが、「あなたがご所有している不動産の競売予定について」などと記載された、身に覚えのない手紙が突然届いてびっくりする方がいます。おそらく任意売却をしようとした業者が、住居表示と異なる登記簿上の住所へ誤って郵送してしまったことが原因でしょう。


■「魅力的な物件か」「金融機関から融資を受けやすいか」など調査

物件を特定できたら、不動産投資に値する物件であるかどうかを調べます。そうそう魅力的な競売物件が登場するわけではありませんが、投資に値しないような物件に対して調査する手間を無駄にかけたくはないものです。具体的には、登記簿を見て以下の点について調査します。


1.物件(土地と建物)の規模を調べる

金融機関からの融資で投資をする方であれば、狭い土地に建つエンピツビル一棟よりも、広い土地付きの建物方が金融機関が評価する積算価格が高くなる可能性があるので、融資を受けやすくなります。

競売物件の場合、購入前に内部を確認できず入居者情報(レントロール)もBITに公開されるまでわからないことが多々あります。したがって、金融機関側が収益還元方式で価格査定しようとしても基本情報が揃わないことになります。ですから、金融機関は積算価格を頼りにする場合が多いです。

金融機関は、競売物件に限らず一般不動産市場での売買物件について、

1)売主側が作成した賃貸借契約一覧表は、現状と一致しているか?
2)売主側(場合によっては、買主側)が説明する一部屋あたりの賃料が高いのでは?

という疑念をいだいているようです。この2点が収益面からみた物件の価格を決定する大きな要素になりますが、信憑性に欠ける案件が多いこともあるのでしょう。

私たちは、金融機関から一棟物不動産の価格についてのセカンドオピニオンを依頼されることがあります。大抵の場合には、売主希望販売価格は私たちが判断する資産価値からみて、1割から3割位高い価格に設定されています。


2.建物の築年月と構造を調べる

築年月が新しいにこしたことはありませんが、そうそう新しい物件が登場しません。競売に限ったことではありませんが、木造や鉄骨造の物件は融資期間が短めになります。例えば、平成8年前後に建築された魅力的な物件であっても鉄骨造の場合には、木造のように融資期間が12年程度と金融機関から評価されてしまう場合もあります。

平成8年築の鉄骨造一棟の融資期間が12年ということはないでしょう・・・と思われるかもしれませんが、これも現実の話です。インターネット等に流布されている情報を間に受けて、安易に机上計算をして投資の収支計算をすると、現実とのギャップに失望してしまう場合もありますのでご注意ください。


次回は、時に複雑となる債権債務関係を、どのようにひも解いて分析すればよいかなどについて記載します。