不動産投資ガイド|不動産競売で考える不動産投資

不動産競売で考える不動産投資
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  • 2011.7.28

第三回|債権債務関係をひも解いて分析

競売物件を特定できた後は、競売を執行された債務者(所有者)がどのような人(法人)であるかを調べます。同様に、借金の額(債権額)や債権者を調べます。債権者が複数いる場合は、任意売却交渉が難航しがちです。最近では、固定資産税や法人税の滞納による差押がさらに執行されている場合があります。では、このような複雑な債権債務関係をどのようにひも解いて分析すればよいのでしょうか。
 

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この写真の物件はいずれも私たちが購入した一棟物競売物件です。
 
左:一般競争入札で購入(落札)し、決して質の良くない占有者を立ち退かせた物件
中:「配当要求の終期等の公告」で差押競売開始決定の情報を入手し、任意売却で購入した物件
右:開札日直前に取り下げられたものの、任意売却で購入した物件(自社投資実績に掲載中
 
いずれも、簡単に購入できたわけではない一棟物競売物件です。
 
 
債権者と債務者をいち早く知る
 
複雑な債権債務関係をひも解いて分析するための第一歩として、債務者と債権者が誰であり、どこに住んでいるのか(法人の場合どこが窓口か)を調べます。債務者と債権者名及び住所は、登記簿に記載されています。ただし、債務者が実際に住んでいる場所は、登記簿記載の住所と異なっている場合があります。債権者からの取立てや、不動産業者が次々に訪問してくることから、住民票の届出をせずに引っ越している場合です。このような時は、不動産業者や専門家に相談しなければ最後まで債務者とコンタクトをとれずに終わるかもしれません。
 
債権者と債務者を特定し、直接コンタクトをとることが大切な理由は次の通りです。
 
裁判所が公告した配当要求は、数多くの不動産業者や個人が直接的あるいは間接的に閲覧しています。その中で魅力的な一棟物競売物件は決して多くありませんので、魅力的な一棟物競売物件については人気が集中します。その人気物件を任意売却で購入できるのは、世の中でたった一人(一社)です。任意売却で購入するには、債権者と債務者の合意が必要です。ですから、債権者と債務者を特定し、直接コンタクトをとった上で任意売却の相談をし、各種交渉をしなければなりません。
 
債権者は、費用をかけて競売手続きをしています。したがって、その回収も含めて不良債権に見合うお金を確実に回収できる買主でなければ合意しません。債務者だけが売っていいと言っても任意売却は基本的に成立しません。債権者である金融機関などが納得できるようなこちら側の資産状況や信用度が求められます。
 
また逆に、債権者が売っていいと思ったとしても、「債務者はあなたに売ることを承諾しているのですか?」と必ず聞かれるはずです。ところが、債務者から「あんたにだけは売りたくない!」と主張されてしまうと、これも任意売却は成立しません。当たり前のことですが、競売が執行されたとはいえ、対抗要件なく一般競争入札で第三者に落札されたわけではないので、一般の不動産売買と同様に売却を承諾する売主の合意が必要なのです。
 
このように、任意売却が成立するためには、債権者・債務者・買主の全てが合意しなければなりません。
  
 
一棟物は特に権者と債務者の諸事情を理解する
 
一棟物競売物件の場合は特に、 債権債務関係が複雑です。任意売却であれ、一般競争入札であれ、一棟物競売物件を購入するためには、この債権債務関係をひも解いて分析する必要があります。そのための近道はなく、地道に債権者と債務者双方に直接コンタクトをとり、誠意を持って諸事情を伺うことから始める必要があります。
 
 
債権者側の諸事情(例)

 
A. 複数の金融機関による協調融資が不良債権になった場合
 
どんなに物件が魅力的であっても、区画整理やゴルフ場など大規模開発目的で複数の金融機関等が多額の協調融資をして焦げ付いた案件であれば、金融機関だけが抜け駆けのように任意売却に応じるという可能性はありません。金融機関の支店レベルで任意売却に応じる案件ではないでしょう。もし、目的の一棟物競売物件が欲しいのであれば、不動産競売の専門家と相談するなどして一般競争入札の準備をするのがベターです。
 
 
B. 所在地が離れている複数の物件を共同担保とした不良債権の場合
 
所在地が離れている共同担保物件がいくつかあり、基本的に同時期に決済しなければ任意売却ができない場合があります。例えば3物件の場合、債権者としては同じ日に同じ買主により3物件まとめて決済できる信用度の高い買主がベストであると考えます。どうしても欲しい一棟物競売物件であるものの、まとめてバルクで購入できなければ、
 
・他の物件については、金融機関から見て決済に問題のないと判断する他の買主を見つける
・連続した営業日それぞれに一物件ずつ代金決済をすることを債権者にお願いする
 
という道を選択するのがベターです。
 
 
C. 金融機関と高金利のノンバンク・消費者金融業者のように債権者が複数存在する不良債権の場合
 
金融機関と高金利のノンバンク(不動産担保ローン会社)・消費者金融業者・一般個人のように、債権者が複数存在している場合があります。大抵の場合、一番抵当権者は金融機関で、その後順位の抵当権者がノンバンク・消費者金融業者などです。この場合、売却により配当される金額について債権者同士で意見があわず任意売却の話が進まない場合もあります。任意売却の話をまとめるためには、プロでないと難しいでしょう。
 
 
債務者の諸事情

 
債務者の事情は、一つとして同じものはないです。債権者以上に競売申立された物件そのもの思い出や思い入れがあるでしょうから、「任意売却の方があなたにとってもお得です」と説得しても、受け入れがたい気持ちになるのは当然です。極めて繊細なお付き合いが求められます。
以前記載した、
というコラムの通り、債務者側としては一般競争入札前はもちろん、第三者に落札された後でも不平不満や、やり切れない思いで溢れているものです。このような諸事情を理解せずに、まるで他人の家に土足で上がりこむがごとく任意売却の話をしようとしても、債務者側に塩をまかれて追い返されることになるでしょう。