不動産投資ガイド|一棟物を狙う不動産投資ガイド

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  • 2011.4.23

第四回|一棟物不動産投資のリスク その3「価格編」

一棟物不動産へ投資は高額になるだけに、購入価格の意思決定を間違えると、投資金額に数千万円、場合によっては億単位の開きがでてしまう場合があります。


一棟物不動産の購入価格設定を間違うと、投資金額に億の差が出ることも

一棟物の購入価格を決定する上では、さまざまな要素が絡みます。また、さまざまな金融工学的な理論も存在します。どれも不必要とまでは言い切れません。ただし、周囲を見回しますと、次のようなシンプルな計算で一棟物の価格が決定されているように思います。

話をわかりやすくするために、
部屋数50戸、各部屋の「平均賃料+管理費」が10万円の一棟物賃貸マンションがあるとします。

満室時の想定月額収入=500万円/月 満室時の想定年間(12ヶ月)収入=6,000万円/年

となりますね(ここでは諸経費は省略します)。

最近の販売資料上では、満室時の想定表面利回りが10%を超えるものはほとんどなく、概ね8%前後です。ですから、以下の単純な算数計算により一棟物不動産価格が決定されています。

6,000万円(満室時の想定年間収入合計)÷8%(満室時の想定表面利回り)
 =7億5,000万円(販売価格)

この一棟物の販売資料を見た方であれば、この平均賃料が妥当であるかどうかは次の情報などを元に精査するでしょう。

・販売資料に添付してある賃貸募集図面に記載されている募集賃料
・ネット上で公開されているこの賃貸マンションや近隣の募集賃料
・大手シンクタンク等がネット上で公開している賃料相場データ

上記のようなデータにより、販売資料に記載の賃料の妥当性が確証されたので、
(・・・と思ってしまう、ここに落とし穴が!

「できれば利回りは二桁、10%欲しい」ということで、

6,000万円(満室時の想定年間収入合計)÷10%(希望する想定表面利回り)
 =6億円

という算数計算により、この一棟物の購入希望価格を決定する方もいます。

この時点で、既に販売価格と購入希望価格で1億5千万円もの開きが出ています。長年不動産業界で仕事をしている人は慣れっこになっているかもしれません。でも、よく考えてみてください。怖い世界だとは思いませんか?

不動産業界で長年働いているベテラン営業マンは、簡単に数百万円、数千万円の指値(値段交渉)を平気で口にします。利回りを1%変えるだけで多額の差がでる一棟物不動産投資の価格決定プロセスを論理的に定義している方もいらっしゃいますが、実務レベルでは極めてシンプルなプロセスで決定されることが多いです。


棟物不動産の購入価格決定プロセスにおける落とし穴

昨今、一棟物不動産へ投資したい方は増え、良い物件は激戦区になることから簡単に購入できなくなりました。投資家や投資家予備軍は、いつ銀行金利を気にしながら、じりじりしていたところに、魅力的な一棟物不動産が出てくると、一目惚れしてしまう方も多いです。その場合、賃料相場を厳しく精査したつもりでも実は甘くなっていて、逆に「いかにこの一棟物不動産投資が妥当であるか」を自ら納得させる(裏付ける)資料ばかりに目がいってしまいます。

まるで「恋は盲目」とばかりに、販売資料を持参した不動産エージェント以上にこの物件に惚れてしまいますので、どんどん都合のよい資料ばかり手元にそろえてしまうものです。一棟物投資も一般的に購入希望者が他にもいる場合が通常ですから、売主側からのカウンターオファー(例:「他にもっと高く買いたい方がいますがどうしますか?」)があれば、惚れてしまった以上、どんどん購入価格設定が甘くなってしまうでしょう。

例えば、上記の例で、この物件に惚れてしまったために利回りを1%妥協してしまいますと

6,000万円(満室時の想定年間収入合計)÷9%(希望する想定表面利回り)
 =約6億6,666万円

になり、当初希望した購入価格(6億円)より、約6,666万円も投資金額が高くなってしまいます。本来、このお金を稼ぐために皆さんどれだけ大変な思いをしているかを思い出してみる必要があります。ところが、投資期間が長期で全体の投資金額が高額という一棟物不動産投資の場合、それほど高く感じなくなってしまいます。

「販売当初の利回りは8%、オファーした利回りは10%、では間をとって9%で・・・」

という交渉プロセスとなります。意外とこういった交渉プロセスで売主側から売却OKが出てしまうのも、一棟物不動産投資の実態です。

ここに金融工学などの理論を適用しようにも無理があるように思いせんか? 億単位、場合によっては10億円規模の一棟物不動産投資が可能な方は、本業が忙しく細かな理論で検証している時間が少ないかもしれません。


ところで今回の例の場合、結果的に売主の当初希望販売価格(7億5千万円)から、8千万円以上のディスカウントができたことになりハッピーな一棟物不動産投資にみえますが、果たしてそうでしょうか?